2年生も後期に入ると普通に食べるお菓子の他に、工芸菓子の授業も多くなります。
前にこのブログであげたアメ細工もその中の一つです。工芸菓子といっても色々なものがあります。 日本菓子専門学校では「アメ細工」「チョコレート細工」「ウェディング」「メレンゲ細工」「ヌガー細工」「ヘクセンハウス」「スイスシャレー」という授業があります。
通常の授業は1日ごとですが、このような工芸菓子の授業は2日連続の授業として行います。だいたいは1日目にデザインを考え、パーツを作る。2日目にそのパーツたちを組み上げる。このような流れで授業は進みます。
「ウェディング」と「スイスシャレー」はパスティヤージュというものを使います。
パスティヤージュ…英語だとシュガークラフトやシュガーアートとも呼ばれます。パスティヤージュは粉糖・ゼラチン・卵白などをよく練って作るペースト状のものです。それを薄く均一に伸ばし、模様を付けたりパーツを切り出していきます。
「ウェディング」はパスティヤージュでベースとパーツを作り、それらを※グラスロワイヤルで接着し組み上げていきます。
※グラスロワイヤル・・・粉糖と卵白を混ぜたペースト。アイシングともいう。








そして「スイスシャレー」はスイスの代名詞の一つである木造の山小屋のことです。こちらは曲面が無いので、パーツを切り出したら反って曲がらないように乾かさねばなりません。
屋根のパーツは模様を付けてから乾かします。

山小屋なのでスキーがありますね。


山小屋の周りの木は※シュクルロッシュで作ります。 ※シュクルロッシュ(岩飴)・・・140℃近くまで煮つめたシロップにグラスロワイヤルを加えてホイッパーで撹拌するとカルメ焼きのように泡が入って固まる砂糖細工
そしてグラスロワイヤルで文字を書いたプレートを飾って完成です。

「チョコレート細工」もデザインを考えパーツを作りますが、組み上げるときのバランスが重要です。色んな角度から見て調整しながら組み上げます。



「メレンゲ細工」はその名の通り、メレンゲを使った細工物です。学校の授業としてはプードルを作りますが、ほとんどはクリスマスの小物を作ります。年末最後の授業のクリスマスケーキ、ヘクセンハウスの飾りに使います。




「ヘクセンハウス」は欧米ではクリスマスの風物詩ともなっているお菓子の家です。ドイツ語で (ヘクセ)は魔女。ヘクセンハウスは魔女の家ということです。そう、ヘクセンハウスとはグリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」に出て来る「お菓子の家」のことなのです。
今では無印良品さんでも生地から作るセットが販売されていますね。
本校では授業の2カ月ほど前に、ベースとなる生地「レープクーヘン」を仕込みます。レープクーヘンの特徴として、ハチミツを甘味料に使い、東洋由来のスパイス(シナモン、クローブ、アニス、などなど)を入れます。こちらも型紙に合わせてパーツを切るのですが、この生地はオーブンで焼くのです。
焼きあがったパーツをまたまたグラスロワイヤルで接着していき、様々な模様や飾りを描いていきます。
これは焼く前の状態。

パーツも大きいのでしっかりと接着していきます。

グラスロワイヤルや粉糖で雪を表現していきます。メレンゲのキノコもありますね。


そして完成がこちら。

「ヌガー細工」・・・この授業はヌガーで作った土台の上にクロカンブッシュを組み上げていきます。
ここで言うヌガーとは、砂糖・水あめ・水を煮詰めていき、キャラメル状になったところでアーモンドを加えてたものです。これを熱いうちに伸ばしてパーツを取り、組み上げます。



そして組みあがったのがこちら。これは先生の作品です。



全部並べると、なかなか壮観です!

このように、大掛かりな工芸菓子を二日にわたって作製していきます。通常のお菓子を作る作業とは少し違い、3人のメンバーが協力し合って一つの作品を作り上げることで、チームとしての作業、連帯感を深めていくのです。
toru