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製菓子技術学科|和菓子
和菓子処 かんだ和彩 神田武治さん
[製菓技術学科 38期出身]
「美味しかったよ。ありがとう」って言葉で今までの努力が報われるんです。
日本菓子専門学校を1998年(38期)に卒業した神田武治さんが営む〈和菓子処 かんだ和彩(埼玉県熊谷市)〉をご紹介します。
京都のお菓子の考え方を大切にした和菓子作りをしています。
うちの和菓子は京都を意識しています。
お客さんが京都という響きが好きというのもありますが、京都の職人の考え方が好きだからです。
特にわかりやすいのが上生菓子です。食べる人においしく食べてもらえる形だったり、表現をギリギリまでシンプルにして手数を減らします。
全て食べる人のためです。トゲトゲしたお菓子は作りません。先端が乾き、口に入れたとき違和感になるからです。そういうお菓子も毛先を出来るだけ立たせないようにします。
関東の職人さんから見れば下手だなと思われるかもしれませんが、見た目が良くないのも承知でやっています。全て美味しく食べてもらいたいという思いからです。そういう京都の職人さんの考えが好きで僕もそういうお菓子作りを心掛けています。
仕事のやりがいは、お客さんに「すごく美味しかったです」と言われることです。
お菓子作りだけではないのですが、本気で仕事をするというのは、毎日毎日気を使います。神経をすり減らしながらお菓子を作ってます。
修業だってしんどいことだらけでした。自分で店を持ったら、お金のことで毎日悩んで、朝も早いし、夜は遅いし、休みの日も仕事してるし、あまり言うべきではないのかもしれないけど、本当に毎日しんどいです。お客さんが来てくれない日は、「なんでこんなことしてるのかな、俺何か間違ってんのかな」って考えてしまうこと結構あります。
でもお客さんに「美味しかったです」って言われたとき今までのそれがチャラになるんですよね。「美味しかったよ。ありがとう」って言葉で今までの努力が報われるんです。心が救われるんです。うちらがやっていくモチベーションて正直その言葉しかないと思ってます。
でも、美味しかったって言葉もプレッシャーになるんです。同じものを作り続けるということが、神経を使うからです。たまにあるんですけど、去年食べたのが美味しくてってお客さんが来てくれます。そんな時はもうドキドキです。今、今日ココにあるお菓子がその時と同じものになっているか、すっごく緊張します。それでお客さんが「やっぱり美味しいですね」って言ってくれた時、心の底からほっとするんです。「良かったー」って思うんです。僕のやってたことは間違いじゃないんだって自信になる瞬間です。
〈製菓・製パン業界を志す皆様へメッセージ〉
今まで、修業という時間で、散々しんどい思いをしてきました。その頃はその頃なりに全力で取り組んで学んできました。
その学びの質と量があるからこそ、今、集客のためのいろんな打ち手が活きてきます。
アイデアを活かすためには地力が大事。
実力が無ければ、どんな素晴らしい打ち手も大した結果には繋がらないと思います。
歳を取ってからでも学ぶことはいくらでも出来ますが、若い時間にどれだけの経験を積めるか、どれだけたくさん学んでおくか。それが自分の可能性を広げることになります。
量が自信に繋がります。
僕らはお菓子の美味しさを伝えるためにお菓子を作っています。
特に和菓子は一度「美味しくない」と思ってしまったら、食べてもらえなくなってしまう可能性が高いものです。だから毎日真剣勝負です。まずいお菓子は人を不幸にしかしません。お客様はわざわざお金を払ってお菓子を買ってくれます。わざわざお金を払って買って食べたお菓子がまずかったら、不幸ですよね。もうそのお店に行かなくなるから、お客さんが来てくれなくなってそのお店は不幸ですよね。和菓子が不味いって思ってしまった人は他の和菓子屋にも行こうと思わないんですよ。他の和菓子屋もお客さんが来てくれないわけですから不幸なんですよ。でもわざわざお金を払って買ったお菓子がすっごく美味しかったら、幸せですよね。またそのお菓子屋に行くからそのお店も幸せですよね。和菓子が美味しいと知っている人は他の和菓子屋にも行こうと思うんですよ。他の和菓子屋もお客さんが来てくれるから幸せですよね。美味しいお菓子を食べた人はこのお菓子を他の人にも教えたい、食べさせたいと思うんですよ。このお菓子美味しいから食べてみてって。もらった人はそのお菓子を食べて、すっごく美味しいって幸せになりますよね。そしてくれた人に、この前もらったお菓子すっごく美味しかったよ、ありがとう。って言うんです。あげた人はまた幸せになりますよね。
僕らでみんなの幸せを増やして行きましょう。
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