和菓子職人に資格は必要?おすすめの国家資格・民間資格もご紹介!
製菓業界では、いろいろな資格を持つプロフェッショナルが活躍しています。国や地方公共団体が主催する国家資格もあり、学生時代に取得し、仕事に活かしている人も少なくありません。では、日本の伝統菓子を手がける和菓子職人には、何らかの資格が必要なのでしょうか?
今回は、和菓子職人と資格の基礎知識について解説します。資格の必要性やおすすめの国家資格・民間資格について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
まずは、和菓子職人になるためのポイントをいくつかご紹介します。仕事内容、実際に目指す場合のパターン、求められる資質など、複数の観点から見ていきましょう。
和菓子職人の仕事は、見た目の美しい、安全で美味しい和菓子を作ることです。伝統的な和菓子から創作和菓子まで、多種多様な和菓子を手がけます。
製造した和菓子の販売も、和菓子職人の仕事のうちの一つとして任せられることもあります。おすすめの和菓子を案内したり、使用素材やアレルギー情報を説明したりと、お客様と直接コミュニケーションを取ることも少なくありません。
次に、新商品の開発を担います。季節や自然、職人の個性・感性が溢れた和菓子は、お客様の心を惹きつけるでしょう。とりわけ昨今は、SNS映えをする創作和菓子なども人気です。伝統を守りつつ、現代のニーズを満たす新商品の開発は、和菓子職人にとっての使命といえます。
近年では、日本の伝統文化における学びと、その情報発信も和菓子職人の役割となりつつあります。特に、海外では、和食人気や日本文化そのものが注目されており、同時に和菓子への関心も高まっています。和菓子を通じて日本の伝統を広めることも、大切な仕事になっているのです。
和菓子職人になるには、主に2つの道があります。一つは、製菓専門学校に進学し、和菓子製造の基礎を習得した上で、製菓衛生師や菓子製造技能士などの国家資格を取得するパターンです。専門学校を卒業した後、和菓子店やメーカーなどに就職し、修行を始める人がほとんどでしょう。
もう一つの方法は、和菓子店に弟子入りし、実務を通じて技術を習得するパターンです。この場合、現場で直接職人から指導を受けながら、一人前の職人を目指すために修行します。
ただ、和菓子職人に弟子入りする方法は、現代では難しいかもしれません。理由はいろいろ挙げられますが、多くの和菓子店が後継者を育てる体力がないこと、現場では即戦力を求めているのが大きいです。最低限、和菓子製造の基礎は身についていないと、和菓子店側も受け入れるのが難しい状況にあります。したがって、これから和菓子職人を目指す人は、製菓専門学校への進学を検討することをおすすめします。
和菓子職人はまず、「和菓子が好き」という想いが根底にあることが重要です。この情熱は、職人として生きていくための原動力になります。次に、手先が器用な人、創造性や美的センスに自信がある人も、和菓子職人に向いています。
また、「伝統は革新によって守られる」といわれます。日本の伝統菓子をアレンジし、幅広い層にアプローチしていく提案力も、これからの和菓子職人には求められるでしょう。実際のところ、最近は洋菓子製造の知識・技術を習得し、和菓子製造に取り入れる職人も少なくありません。
和菓子職人になるために、特定の資格が必要になるわけではありません。しかし、製菓衛生師や菓子製造技能士などの国家資格を持っていると、就職・転職活動において有利になります。なお、各資格試験には受験資格が設定されています。製菓専門学校の在学中または卒業後に受験資格を満たし、合格を目指すのが一般的です。
ここでは、和菓子職人におすすめの国家資格をご紹介します。
製菓衛生師は、厚生労働省が認定する国家資格の一つで、菓子製造業従事者の資質向上、もって公衆衛生向上および増進に寄与することを目的とします。その受験資格は、養成施設で1年間必要な科目を学んだ人、または2年以上の実務経験を有する人に与えられます。
試験は、衛生法規・公衆衛生学・食品学・食品衛生学・栄養学・製菓理論・製菓実技などの科目から構成され、全60問が出題されます。また、製菓実技も試験に含まれており、和菓子・洋菓子・製パンの内から1分野を選択し、受験します。
製菓衛生師の資格は、製菓業界で働く上で必須ではありません。しかし、就職・転職で有利になり、キャリア形成がスムーズになるでしょう。何よりも「安心・安全なお菓子を提供できる職人」の証明になるので、可能な限り取得しておきたい資格です。
菓子製造技能士は、菓子製造における技術・技能を認定する国家資格です。この資格には1級と2級があり、各試験には受験資格が設定されています。原則、菓子製造技能士2級試験では2年以上、1級では7年以上の実務経験が求められます。なお、2級合格後は受験資格が緩和され、2年間の実務経験を積むことで1級を受けられます。
菓子製造技能士の試験は、洋菓子製造作業と和菓子製造作業の2分野にわかれています。和菓子製造作業の場合、筆記試験では食品一般や菓子一般、関連法規、安全衛生、和菓子製造法などが出題されます。同時に実技試験も行われ、饅頭や練り切り、羊羹などを製造し、その仕上がりから採点します。製菓衛生師と合わせて取得しておきたい国家資格です。
食品衛生責任者は、飲食店における食品や施設、設備の衛生管理を担うスペシャリストです。日本では食品衛生法にもとづき、飲食店や食品製造施設に最低1名以上の食品衛生責任者の配置が義務化されています。
食品衛生責任者の役割には、施設や設備の衛生管理、食品の取り扱い、従事者の衛生管理などが含まれます。また、食品衛生法の周知や、衛生管理の実施状況の記録や保存、衛生管理の検証なども重要な仕事です。
食品衛生責任者の資格は、養成講習を受けてテストに合格することで取得できます。この講習は各自治体で開催され、修了後には修了証書が交付されます。なお、製菓衛生師のように、特定の資格を持つ人は講習を免除され、保健所などへの申請だけで資格を取得できます。
続いて、和菓子職人を目指す人におすすめしたい民間資格をご紹介します。
和菓子ソムリエは、「日本安全食料料理協会(JSFCA)」主催の民間資格です。和菓子の伝統や文化に精通しており、その豊富な知識を社会に広める役割があります。資格取得後、和菓子のスペシャリストとしてSNSや各種メディアで活動する人が多く見られます。
和菓子コーディネーターは、和菓子に関する幅広い知識を持ち、和菓子店のマーケティングや出店全般、経営管理を担うスペシャリストです。有資格者は和菓子店や和菓子会社、和菓子カフェ、和菓子教室、製菓専門学校、和菓子のネットショップなど、多岐にわたる場所で活躍しています。
和菓子コーディネーターの資格には3級から1級まであり、各レベルで求められる知識・技術が異なります。もっとも簡単な3級は和菓子の基本知識、2級はより高度な知識と技術が問われます。そして1級は難易度が上がり、和菓子のプロフェッショナルでなければ合格は難しいとされます。
和菓子パティシエは、和菓子作りに情熱を持つ人、日本文化・行事について深く知りたい人に人気の民間資格です。有資格者には、和菓子の美しさや製造方法を理解し、それを伝える役割があります。
和菓子パティシエの試験では、和菓子の歴史や材料、季節ごとの代表的な和菓子、西洋文化の影響を受けた季節の和菓子、人生の節目で用いる和菓子、和菓子の分類などが問われます。
あんこ検定は、「日本あんこ協会」が主催するオンライン資格試験です。試験では、和菓子製造で多用されるあんこの専門知識が問われます。この試験に合格すると、協会認定の「あんこ女子」または「あんこ男子」となり、あんこのスペシャリスト「あんバサダー」として活動できます。
あんこ検定は年齢、性別、学歴に関係なく誰でも無料で受験できます。合格者には協会主催イベントへの優先参加などの特典がありますが、国家試験とは異なり、就職に直接的なメリットはありません。
和菓子職人に特定の資格は不要ですが、国家資格を筆頭に、取得するメリットは多数あります。その理由について、3つのポイントから解説します。
資格があれば、就職・転職において有利になります。近年、食への安全意識が高まる中、特に製菓衛生師の資格は求人で求められることがあり、就職先の選択肢を広げるでしょう。国家資格があるとビザを取りやすくなることから、海外で就職活動をする際にも役立ちます。
菓子製造における専門知識・技術を証明できるのは、大きなメリットです。特に国家資格取得のメリットが大きく、持っていれば社会的信頼性が増します。民間資格も一定の取得メリットはあるものの、国家資格に比べると優先度は下がるでしょう。まずは国家資格の合格を目指すのが大切です。
製菓関連の資格を取得することで、仕事の幅が広がります。たとえば、製菓衛生師の資格があれば、現場でより責任のある立場を任されやすくなります。キャリア形成にも影響を与えるため、仕事の幅を広げたい人は、積極的に資格を取るとよいでしょう。
和菓子職人に特定の資格は不要ですが、持っていると仕事やキャリア面において、有利に働くことが多いでしょう。まずは国家資格合格を目指し、その上でさまざまな民間資格を取っていくのがおすすめです。
製菓衛生師や菓子製造技能士などの国家資格は、日本菓子専門学校などの指定養成施設に通うことで受験資格が得られます。興味のある方は、ぜひ当校のオープンキャンパスや学校説明会にお越しください。
オープンキャンパスや個人面談のお申込み・お問い合わせはこちらから
https://www.nihon-kashi.ac.jp/taiken
今回は、和菓子職人と資格の基礎知識について解説します。資格の必要性やおすすめの国家資格・民間資格について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
和菓子職人になるためには?
和菓子職人の仕事内容
製造した和菓子の販売も、和菓子職人の仕事のうちの一つとして任せられることもあります。おすすめの和菓子を案内したり、使用素材やアレルギー情報を説明したりと、お客様と直接コミュニケーションを取ることも少なくありません。
次に、新商品の開発を担います。季節や自然、職人の個性・感性が溢れた和菓子は、お客様の心を惹きつけるでしょう。とりわけ昨今は、SNS映えをする創作和菓子なども人気です。伝統を守りつつ、現代のニーズを満たす新商品の開発は、和菓子職人にとっての使命といえます。
近年では、日本の伝統文化における学びと、その情報発信も和菓子職人の役割となりつつあります。特に、海外では、和食人気や日本文化そのものが注目されており、同時に和菓子への関心も高まっています。和菓子を通じて日本の伝統を広めることも、大切な仕事になっているのです。
和菓子職人になる方法
もう一つの方法は、和菓子店に弟子入りし、実務を通じて技術を習得するパターンです。この場合、現場で直接職人から指導を受けながら、一人前の職人を目指すために修行します。
ただ、和菓子職人に弟子入りする方法は、現代では難しいかもしれません。理由はいろいろ挙げられますが、多くの和菓子店が後継者を育てる体力がないこと、現場では即戦力を求めているのが大きいです。最低限、和菓子製造の基礎は身についていないと、和菓子店側も受け入れるのが難しい状況にあります。したがって、これから和菓子職人を目指す人は、製菓専門学校への進学を検討することをおすすめします。
和菓子職人に求められる資質
また、「伝統は革新によって守られる」といわれます。日本の伝統菓子をアレンジし、幅広い層にアプローチしていく提案力も、これからの和菓子職人には求められるでしょう。実際のところ、最近は洋菓子製造の知識・技術を習得し、和菓子製造に取り入れる職人も少なくありません。
和菓子職人に資格は必要?
【国家資格】和菓子系のおすすめ資格
製菓衛生師
試験は、衛生法規・公衆衛生学・食品学・食品衛生学・栄養学・製菓理論・製菓実技などの科目から構成され、全60問が出題されます。また、製菓実技も試験に含まれており、和菓子・洋菓子・製パンの内から1分野を選択し、受験します。
製菓衛生師の資格は、製菓業界で働く上で必須ではありません。しかし、就職・転職で有利になり、キャリア形成がスムーズになるでしょう。何よりも「安心・安全なお菓子を提供できる職人」の証明になるので、可能な限り取得しておきたい資格です。
菓子製造技能士
菓子製造技能士の試験は、洋菓子製造作業と和菓子製造作業の2分野にわかれています。和菓子製造作業の場合、筆記試験では食品一般や菓子一般、関連法規、安全衛生、和菓子製造法などが出題されます。同時に実技試験も行われ、饅頭や練り切り、羊羹などを製造し、その仕上がりから採点します。製菓衛生師と合わせて取得しておきたい国家資格です。
食品衛生責任者
食品衛生責任者の役割には、施設や設備の衛生管理、食品の取り扱い、従事者の衛生管理などが含まれます。また、食品衛生法の周知や、衛生管理の実施状況の記録や保存、衛生管理の検証なども重要な仕事です。
食品衛生責任者の資格は、養成講習を受けてテストに合格することで取得できます。この講習は各自治体で開催され、修了後には修了証書が交付されます。なお、製菓衛生師のように、特定の資格を持つ人は講習を免除され、保健所などへの申請だけで資格を取得できます。
【民間資格】和菓子系のおすすめ資格
和菓子ソムリエ
和菓子コーディネーター
和菓子コーディネーターの資格には3級から1級まであり、各レベルで求められる知識・技術が異なります。もっとも簡単な3級は和菓子の基本知識、2級はより高度な知識と技術が問われます。そして1級は難易度が上がり、和菓子のプロフェッショナルでなければ合格は難しいとされます。
和菓子パティシエ
和菓子パティシエの試験では、和菓子の歴史や材料、季節ごとの代表的な和菓子、西洋文化の影響を受けた季節の和菓子、人生の節目で用いる和菓子、和菓子の分類などが問われます。
あんこ検定
あんこ検定は年齢、性別、学歴に関係なく誰でも無料で受験できます。合格者には協会主催イベントへの優先参加などの特典がありますが、国家試験とは異なり、就職に直接的なメリットはありません。
和菓子系の資格を取得するメリット
就職・転職で有利になる
専門知識と技術を証明できる
仕事の幅が広がる
まとめ
製菓衛生師や菓子製造技能士などの国家資格は、日本菓子専門学校などの指定養成施設に通うことで受験資格が得られます。興味のある方は、ぜひ当校のオープンキャンパスや学校説明会にお越しください。
https://www.nihon-kashi.ac.jp/taiken
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